求人媒体は超レッドオーシャン状態
まず求人媒体ですが、著名なところだとリクルート様や、ハイクラス向けでブランディングされているビズリーチ様などが皆様もよくご存知だと思います。
私が所属していたのは大手人材会社ではなく、ベンチャー系の求人媒体を運営している会社。
特に、年収ベースが比較的低い方をターゲットにしている媒体でした。このゾーンは本当に激戦ブロックで様々な媒体が存在しています。
このカテゴリはハローワークも競合するので、求人企業はあまり掲載費を払いたくないという会社も多く、よって人材会社側は月額利用料はなかなか請求できず、成果報酬一本で勝負する会社は珍しくありません。
「ウチならタダで掲載できますよ!通年採用にどうぞ!」と言った営業をされてくると思いますが、それは特別なことでなく、「月額無料の成果報酬のみ」という媒体は少なくありません。
求人媒体はオリジナルの人材データベースの数で選ぶのがコツ
人事の方含め、このコラムを読んで頂いている方は、どこかの時期で「求職者」でしたよね。
特に転職を1回でも経験されている方で、転職エージェントなどを利用されたことがある場合、A社からもB社からも同じ会社の求人情報を貰った。そのような経験をされているのではないでしょうか?
これは機密でもなんでもなく、人材紹介会社向けに、求人のデータベースを提供するサービスというものがあります(株式会社ROXX様のagent bank等)。
ですので、出所が同じという仕組みがあるため、異なる人材紹介会社から、全く同じ求人情報が届くという現象があります。
これは求職者情報も同じで、パーソルキャリア様のdoda maps等、求人ほどは多くないのですが同じように、人材紹介会社向けに求職者情報のデータベースを提供するというサービスがあります。
これ、つまるところ、人材紹介会社の中にはオリジナルの求人データも、求職者のデータも持っていなくても、営業力が高ければマッチングさせてビジネスとして成り立っている会社もあるということです。
ですので、求人媒体や、人材紹介会社は「掲載料が高いか安いか」ではなく、「自社が求める人材データをオリジナルでどれだけ持っているか」これを、きちんと公開している会社を選んだ方が良いと思います。(月額タダだと言っても、望みもしない人材を強引に薦めるだけの会社もありえます。)
採用サイトは誰でも作れる
では次に、弊社ネクストソリューションズも所属するWEBマーケティング業界側です。
まず「採用サイト」と呼ばれるWEBサイトは誰でも作れます。
お約束のように、インフォグラフィックを用いた「数字で見る〇〇シリーズ」や、「先輩社員インタビュー(対談も)」、「先輩社員の一日」等、大体どこも同じですよね。
今だと、パーパス採用やアルムナイ等を「フック」にされるかもしれませんが、具体的にどのようなコンテンツを作れば良いか、きちんと提案できるかは見極めた方がよいかもしれません。「SDGsの取り組みを載せましょう!」では失礼ですがチープですよね。
採用サイトは特に複雑な技術も不要なので、誰でも作れますが、本質的な採用課題を解決できる会社か、言葉だけでない採用ブランディングが出来る会社かを見極める必要があると思います。
求人広告の代わりにWEB広告は得策?
リスティング広告(またはSEO)で集客して、求人媒体に出稿する費用を削りましょうという提案をされるケースがありますが、これも非現実的としかいいようがありません。
なぜか?
皆様、転職経験がある方だと、多くの方が人材紹介会社を活用しますよね?なぜでしょう?
ある程度スキルのある方だと、現職でもそれなりに仕事が多い状態ですよね。面接調整だけ、ちょっとした交渉だけでも紹介会社がやってくれたらラクですよね。
そして、会社ってどれだけ日本に存在しているかご存知でしょうか?総務省調べで数百万社と言われています。
求職者の立場だと、なるべく多くの会社を見たいですよね?そのようなニーズがあるのに、求職者が1回1回、SEOやリスティング広告で、1社づつ採用サイトを比較して、応募するなんて非効率すぎませんか?
だから、「経験豊富な方」こそ、人材紹介会社を活用するわけです。自分の望む条件で、簡単に求人票だけ確認して後は面接で見極めようという思惑があるわけですから。
つまり、リスティング広告と採用サイトで採用活動をやりましょう!というのは、WEB制作会社にとっての都合だけで、Google等で求人検索をする中に、どれだけ即戦力人材がいるかなんて、全くデータも持っていないはずです。
求人媒体とWEBサイトの賢い活用法
私は求人媒体と、自社の採用サイト(採用コンテンツ)は自転車の両輪だと思っています。
そもそも求職者はどこで情報収集しているのでしょうか?労働政策研究・研修機構が2007年にハローワークを利用している方に対して行った調査データがあります(ハローワーク来所者の求職行動に関する調査)。
この第三章「求職行動の実態」によると当然ですが「ハローワーク利用者」が群を抜いて多く(ハローワーク利用者をターゲットにしているため)、少し古い情報のため、アナログの求人広告等と続いて行っています。
アナログの広告は、完全にWEBにとって代わられていることは想像に難しくありませんよね。そしてこれはハローワーク利用者なので、年収ゾーンはやや低めの方がターゲットになっています(厚生労働省の「労働市場における雇用仲介の現状について」でも紹介する仕事の年収幅は220万~550万と公開されています)。ハイクラスとまでは呼ばなくても、いわゆる平均年収層となれば、人材紹介系が増えてくるのはマイナビ様の「転職活動における行動特性調査」からも明らかです。
つまり、何らかの「求人媒体」を活用しておかないと、そもそも求職者に「自社が存在している」ことを知って頂くことが難しくなります。ですから、有料、無料を問わず媒体を利用することはマストだと考えます。
そして自社のWEBサイトの立ち位置です。求人票では「仕事内容」「条件」などしかわかりませんよね?自身が求職者の時に欲しかった情報は何でしょうか?
会社の理念でしょうか?仕事のやりがいでしょうか?本音は「ブラックじゃないだろうか?」「ちゃんとワークライフバランスは取れているのか?」。今なら「リモートワークが出来るのか?」もあるかもしれません。こういった「求職者が本当に知りたいこと」を調べるために、求職者の大半が自社のWEBサイトを閲覧しにきています。
採用サイトのあるべき姿
私もよくお客様から相談頂くことがあります。それは「口コミサイトにネガティブなことを書かれるので、どうすればよいですか?」という内容。
これは「仕方ありません」。特に大きな会社になればなるほどネガティブ評価も一定数出てくるでしょう。
そして、求職者はその情報を求めているのです。なぜか?「会社は自分たちに都合のいいことしか書くわけがない」と分かっているからです。
というか、このコラムを読んでいる皆様も、転職者の立場になれば多くの方が「本音」として感じられることでないでしょうか?
だからこそ、自社の採用サイトに重要なことは「着飾らず、等身大でありのままの姿を見せること」です。だってそうですよね?
私たちが求職者の時、「キラキラ輝き、みんなが笑顔でHAPPY、仲良く」なんて職場を演出されたところで信じませんよね(笑)
そんなことでなく「ありのままの日常、特別なある日ではなく、ごくごく一般的な一日」を見たいわけですよね。これを採用サイト、採用コンテンツに出すことが何より大切です。これにプラスアルファで、パーパス。つまり「自社が世の中に存在することの意義」をしっかりと伝えることです。
パーパスの到達すべきことは、カッコつけたことを書くことではなく、これも「ありのままの姿」を伝えて、自社のファンになって頂くことと考えます。
採用系については、いくつか過去に行ったセミナー動画をアーカイブ配信していますので、ご関心ある方は是非ご覧くださいませ(無料)!