改めてChatGPTについて
「話題のChatGPTが仕事につかえるか試してみた」内でも触れていますが、改めて2022年にアメリカのOpenAIが公開したAIチャットボットです。
生成AIと呼ばれ、単純な会話だけでなく、時にはクリエイティブな仕事をしてくれるということで、一大社会ブーム。株式市場もAI関連と思われる企業銘柄が軒並みバブルのように人気を集めましたよね。
今回少し、ChatGPTのムーブメントもピークを越えて、落ち着いてきたかなといった印象があるので、皆様にも改めて冷静にChatGPTについてお伝えしていきたいと思います。
管理部門でChatGPTは使えるか
まず結論としてAIチャットボット自体、管理部門と相性が良いのは事実だと考えています。
私個人も実は以前所属した会社で、AIチャットボットを扱っていましたし、AIチャットボットを管理部門で活用するメリットをコロナが社会を変えだした2020年の初め頃、実際にオンラインセミナーでよく解説させて頂いていました。
大体どの分野でも、大半の質問内容というのは同じようなものが多いと言われ、例えば交通費の申請についてや、勤怠システムについてなどマニュアル化されたものであれば、AIに「マニュアルの○ページに記載しているので、こちらを参照にしてください」とそのマニュアルへのリンクと一緒に返答すれば解決しますし、そういった単純な質問で管理部門のスタッフの手を止めてしまうのは効率的ではないですよね?
ですがここまでは、当時オンラインセミナーでお話した内容そのもの。今回はChatGPTならさらにどこまで業務効率化が可能か試してみます。
人事・採用関連
求人掲載文を作成してみた
条件として次の3つを入れて、求人媒体に掲載するための文章を作成してみました。
当社では、新たな営業メンバーを募集しております。お客様との信頼関係を築き、成果を出す営業の仕事に興味がある方、ぜひご応募ください。
【勤務地】
東京都内
【給与】
初任給は実績を考慮した上で優遇します。頑張り次第で、ステップアップしていくチャンスも豊富です。
【業務内容】
・新規顧客の開拓と既存顧客のフォローアップ
・商品やサービスの提案と説明
・ニーズに合わせたソリューションの提供
【応募要件】
・コミュニケーション能力に優れ、人との関係性を大切にできる方
・自己モチベーションを保ちながら目標に向かって努力できる方
・営業経験者は歓迎しますが、未経験者も熱意を持って取り組める方であれば大歓迎です
【福利厚生】
・社内研修や外部セミナーの参加支援
・昇給・昇格制度あり
・社会保険完備
【応募方法】
履歴書と職務経歴書を添えて、下記メールアドレスまでご送付ください。
メールアドレス: XXXXX@XXXXX.com
新しいチャレンジを求める方、成果を出してキャリアを築きたい方、ぜひご応募お待ちしております。
このテのワンパターン化した文章を作成するのは大得意ですね。
細かい条件さえきちんと作っておけば、問題なさそうですね。
内定のメール文を作成してみた
ちなみに「内定を出した方へのメール雛形文を作って欲しい」とオーダーしましたが、先の「営業職募集」を前提に作ってくれました。
拝啓、○○様(個別の名前で置き換えてください)、
このたびは、弊社の営業職へのご応募、そして面接にお越しいただき、誠にありがとうございました。お会いできたことを大変嬉しく思います。
ご提出いただきました履歴書および面接に基づき、弊社は貴重なご経験と能力を高く評価し、○月○日(具体的な日付)に行われた面接を経て、内定を出す運びとなりましたことをお知らせいたします。
ご入社いただけることを楽しみにしており、共に成長し、一緒に仕事に取り組んでいくことを心より願っております。
以下、内定に関する詳細情報をご案内いたします。
【内定内容】
・職種: 営業職
・勤務地: 東京本社(住所)
・給与: 月給 ○○○○○円
・雇用形態: 正社員
・入社予定日: ○月○日
【内定受諾手続き】
受諾の意思をお伺いするため、以下の書類をご提出いただきますようお願い申し上げます。
・入社予定日までに、受諾書(添付ファイルを参照)をご記入の上、返信メールに添付の上、送信してください。
【その他連絡事項】
入社手続きや入社前研修に関する詳細な情報については、後日改めてご連絡いたします。
何かご不明点やご質問がございましたら、遠慮なくお知らせください。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
心よりお祝い申し上げます。
敬具、
△△株式会社
人事部 △△(ご担当者名)
Eメール: XXXXX@XXXXX.com
電話番号: 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
こちらも、ここまでのクオリティがあればカスタマイズもラクですし、もちろん不採用のご連絡文なども同様に作成できると思います。
広報関連
全社会議の社員への告知文を作成してみた
開催方法や時間、主な当日のコンテンツなどは全て人間が考えた上で、告知する文章だけをChatGPTに作成させてみました。
お世話になっております。△△株式会社です。
日頃のご尽力に感謝申し上げます。さて、新たな情報と交流の場を設けるため、「全社会議」をオフラインで行うことをお知らせいたします。詳細は以下の通りです。
【全社会議詳細】
(1)場所:東京神泉のオフィス
(2)時間:10時開始~17時
(3)懇親会:18時から渋谷にて(20時解散)
(4)主なコンテンツ:
・社長挨拶
・各部門長による発表
・外部講師による特別セミナー
この「全社会議」は、社内での情報共有や部門間の連携を促進し、更なる成長と発展を目指す大切なイベントとなります。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
お手すきの際には、以下のリンクから参加登録をお願いいたします。
[参加登録リンク]
ご不明点や質問がございましたら、お気軽にご連絡ください。
楽しみにお待ちしております。
敬具、
△△株式会社
人事部 △△(ご担当者名)
Eメール: XXXXX@XXXXX.com
電話番号: 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
社員向けなのに、少し他人行儀すぎますが、まぁカスタマイズすれば良いので問題はないでしょう。ここまでは採用系と同じく、一般的なフォーマット作成は得意にようです。
全社会議の特別セミナーの企画を作成させてみた
こちらは過去に実証実験を行っていますが、改めてセミナーの企画案を任せてみたいと思います。
テーマ: 「コンプライアンスと私たちの仕事 – 倫理的なビジネス実践の重要性」
目的:
この特別セミナーでは、コンプライアンスと倫理的なビジネス実践の重要性について理解を深め、日々の業務にどのように適用するかを考える機会を提供します。社員一人ひとりが誠実なビジネス行動を通じて組織の信頼を高めることを目指します。
ここまでは可もなく不可もなし。これは以前、WEBマーケティングをテーマにしたセミナー企画を作ってみた時と大差ないイメージです。
相変わらず堅苦しいと言いますか、難しい表現が好きだなぁ…とは感じます。
1.オープニング
・講師紹介とセミナーの目的説明
2.コンプライアンスと倫理の基本
・ビジネス倫理の重要性とコンプライアンスの基本概念
3.ケーススタディ
・チーム分けをして、実際のビジネスシナリオを元にディスカッション
・コンプライアンス違反のリスクとその影響について話し合う
4.コンプライアンス文化の醸成
・組織内でのコンプライアンス文化の構築方法と重要性について考える
5.ベストプラクティスとアクションプラン
・各チームがまとめたアクションプランの発表と共有
・日常業務におけるコンプライアンスへの取り組みの具体的な提案
6.クロージング
・セミナーのまとめと今後の行動に対する意識向上
基本、ChatGPTはアメリカ発のためか、ご覧いただいているように「ビジネス英語」がとても多いです。そのため一見すると「スゴイ」というイメージが出来てしまいますが、案外普通の提案しかしてくれないイメージを個人的には持っています。
このままでは本音「芸がないのでは?」と感じています。
- チーム分けとディスカッション: 社員を異なるチームに分けてディスカッションを行い、様々な視点からコンプライアンスについて考える機会を提供します。
- 実践的なアクションプラン: 各チームがコンプライアンスへのアプローチをまとめ、日常業務における具体的な行動計画を作成します。
- ベストプラクティスの共有: 社内での成功事例やベストプラクティスを紹介し、学びを共有します。
もともとチーム分けは私からオーダーしたものなので、これ自体はChatGPTのアイデアではありません。例えばどんなチーム分けが良いかを提案してくれるなど、オリジナリティのある提案は苦手な印象があります。
まとめ~人の代わりにはならない~
基本的にChatGPTは数多くの文献などを読み込んでいるので、メールの雛形を作成するなど「単純業務」は得意です。
ただオリジナリティあるものは、業務の分野を問わず苦手なイメージがありますね。
営業系であれば提案書を作成するなどは避けた方が良い印象があります。
一見難しそうなことを回答しますが、深く読んでみるとあまり大したことを話してくれない印象を持っています。
私自身、管理部で働いた経験はないのですが、昔ネクストソリューションズではない会社で、経営企画のメンバー2人と3人でマーケ部門を立ち上げた経験があり、その際そのメンバー達とマーケ業務以外にもいくつか私自身関わったものがあります。社長秘書メンバーへのテストや、オンラインでの社員交流イベント企画。やはりどれも人間だからこそ作れるクオリティ、そしてそこに「情熱」も私自身感じた記憶があります。
ChatGPTにそのような「人間味」ある企画を期待するのは辞めた方が良いです。ただし単純な仕事はAIに任せてしまえると思うので、「人間のリソースを全てAIに」ではなく、人間の業務の手助け。
空いた時間で新規事業のアイデアを人間が考えるというならば、それこそ本質的なDXにも繋がっていくと思います。
参考:注意事項
注意点は2つ。まず著作権ですが、ChatGPTに作成させたコンテンツの著作権は、作成させたユーザにあるとされています。
しかしその元になっているものは、どこからか許可もなく持ってきた可能性があるので、当コラムでご紹介したような著作物と呼べない「内定メールの雛形」などであれば良いでしょうが、例えば採用ブログをChatGPTに作成させるなどを企画される際は、注意が必要です。
次に誤情報が多いという事実。
申し訳ございませんが、私の知識のカットオフが2021年であり、最新の鉄道運行情報は提供できません。2021年時点では、京王線から新宿駅まで乗り換えなしで直通の電車が運行されていました。
京王線に詳しい方だと分かりますが、2021年でも神泉駅から新宿駅は乗り換え必要です(笑)。
このように、ChatGPTの情報を鵜呑みはしない方が良いです。
専門的、例えば法務担当の方が作成しなければならないような契約書の雛形などはアテにしない方が良いと思う理由です。