ChatGPTとは
昨今、Twitter等でIT業界で時の人となっている「イーロン・マスク氏」らによってアメリカ・サンフランシスコに設立されたOpenAIが、2022年末に公開したAIチャットボットです(イーロン・マスク氏はその時、すでに団体を離れています)。
AIチャットボット自体はChatGPTが誕生した2022年以前にも多く存在していましたし、このコラムを読んで頂いている企業のご担当者も、何社かのご提案を受けた方。あるいは導入された方も少なくないかもしれません。
(私も以前勤めていた会社ではオリジナルのAIチャットボットを扱っていました。)
しかしそれらは事前に、言語、模範解答をAIに学習させ、一定の法則の元で「このような質問にはこちらの回答を返そう」といったところまでが限界でしたが、ChatGPTは「生成AI」と呼ばれ、事前に準備されていない回答を作り出せることが注目されています。
認知度と比例しない利用実態
野村総合研究所「日本のChatGPT利用動向(2023年6月時点)」によると、ChatGPTを認知している方は約70%近いとされています。
しかし一方で利用実績については約15%と、現実は「ChatGPTの名前は知っているが使ったことはない」方が大半なことが分かります。
つまり、使ったことはないけどニュース等でも取り上げられているので「なんか凄いものらしい」といった過度な期待感が多いのではと感じています。
ChaGPT実証実験~ChatGPTはセミナー資料を作れるのか~
では今回、実際にChatGPTにセミナーの資料を作って貰ってそのレビューを行ってみたいと思います。
今回のお題は「WEBマーケティング」で「広報マーケティング部門のご担当者向け」に「30分程度」の内容を作ってもらいます。
尚、ChatGPTのアカウント作成方法などは割愛させていただきますが、現在(2023年7月)無料アカウントが作成できますし、また多くの作成方法を解説されているコラムがあるので、そちらを参照頂けますと幸いです。
まずはアジェンダ作成
- WEBマーケティングの基本
- ウェブサイトの最適化
- コンテンツマーケティング
- デジタル広告
- 成果の評価と改善
- 成果の評価と改善
実際はさらに細かく、小見出しまで作ってくれました。
アジェンダは「それっぽい」感じ。
ただ量が多いので30分にまとまるのかは不安ですが…。
アジェンダを1つづつ深堀り
まずは「WEBマーケティングの基本」ですが、ではその「定義や重要性」について尋ねてみました。
すると次のような回答が得られました。
WEBマーケティングは、インターネットを活用してウェブサイトやオンラインプラットフォームを通じて製品やサービスを広めるためのマーケティング手法の総称です。具体的には、ウェブサイトの最適化、コンテンツマーケティング、ソーシャルメディアマーケティング、デジタル広告、電子メールマーケティング、ウェブアナリティクスなどの戦略や手法が含まれます。
WEBマーケティングの目的は、オンライン上でターゲットオーディエンスに対して製品やサービスを知ってもらい、関心を喚起し、購買や行動を促すことです。具体的な目標は、ウェブサイトへのトラフィック増加、リードの獲得、売上の向上、ブランド認知度の向上などがあります。
「それっぽい」回答ですね。
赤字にした「ウェブサイトの最適化」についてさらに詳しく聞いてみたいと思います。
WEBマーケティングにおける「WEBサイトの最適化」は、ユーザビリティと検索エンジンの視点からウェブサイトを改善し、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、トラフィックとコンバージョンを増やすための取り組みです。
さらに深堀りしてみたいと思い、次は「ユーザーエクスペリエンスに優れたWEBサイトの特徴」を聞いてみました。
使いやすさ、視覚的な魅力、迅速な読み込み、モバイルフレンドリー、直感的なナビゲーション、価値あるコンテンツを提供し、ユーザーのニーズに応えるデザインと機能を備えています。
もっともっと細かく聞いてみたいところですが、イントロダクションとしては「可」といった印象。
しかし、これを読んで頂いている方も「それっぽいけど、で、具体的にはどんなもの?」といった印象も持たれるのではないかと思います。
全体的に尖ったアイデアがないため、オリジナルな提案としては消化不良感。
ただし入門編「基本のき」であれば少しアレンジすれば十分に利用できそうな感覚を得ました。
ChatGPT利用上で注意すべきこと
今回の実証実験を行い、汎用的な資料作成レベルであれば「ドラフト版(下書き)」としては工夫次第で、業務でも活用できそうな感覚を得られました。
ただ注意すべき点もあるのでここでは「誤情報」と「著作権」についてご説明したいと思います。
誤情報について
ネクストソリューションズは東京都渋谷区、神泉駅が最寄り駅になります。
ではChatGPTに神泉駅が何線なのかを聞いてみたいと思います。
東京都渋谷区には「神泉駅」という駅は存在しません。渋谷区内には「渋谷駅」という主要な駅がありますが、東京都渋谷区に所在する他の駅については、私の知識が2021年までのものであるため、最新の情報を提供することができません。最新の情報を入手するためには、公式の鉄道会社のウェブサイトや駅名検索サイトなどをご利用ください。
「…。」私は一体毎日、何駅で乗り降りしているのでしょうか(笑)
Wikipediaによると、1933年に当時、帝都電鉄の駅として開業され、現在も京王井の頭線の駅として実在していますが、ChatGPTは「神泉駅」を知りませんでした。
これは少し「お遊び要素」もある質問なのですが、実はこのように誤情報もかなり含まれているのが実態です。
著作権について
2023年3月時点で、ChatGPTで生成されたコンテンツは利用者に権利があるとされています。
ですので、当コラム記事も一部、ChatGPTで生成されたコンテンツをそのまま引用しています。
ですが大元になっている情報については、誰かの著作権を侵害している可能性もあるため、使い方や内容によっては公開等される前に吟味をされた方が安全だと思います。
せっかく誕生したChatGPT、やや今回のコラムでは否定的に見えた個所もあったかもしれませんが、基本的には「注意して利用すればとても便利な道具になる」といった印象を受けました。
実際、私が今後ChatGPTを使ってコラムを書いたり、またセミナー資料を作るかは別問題ですが(現状では使う予定はありません)、まずは無料で一度使ってみて、どのようなものか。
また皆様のお仕事内容的に、どこまで実用できるかを一度「感覚」だけでも掴んでおかれると良いと思います。
いずれにしても、まだまだ機械的な口調だったりするため、多少はアレンジをする必要があるといった印象を持っています。
まとめ
話題のChatGPT、今回検証として「ChatGPTはセミナー資料を作れるのか」と検証をしましたが、「優・良・可・不可」で採点をするならば「可」といったところ。
ただ全くゼロから勉強して作成をするわけではなく、基本は既出の情報を整理して提案してくれるといった印象が強く、個人的には物足りなさを感じました。
あとは誤情報もあるので、人間の目によるチェックも必須だと思います。
ただ現時点でネガティブなことばかりをお伝えするよりも、数年前に一時期流行ったAIチャットボットに比較すると、とにかくどんな質問にも回答してくれるため、利用者感情としてシンプルに「楽しい」と感じました。
ChatGPTがきっかけになって、この分野がどのような発展をしていくのか引き続き要チェックだと思います。