20年で新聞の発行部数は40%減
まず1つのデータとして「新聞」。
このコラムを読んで頂いている方は、今住んでおられるご自宅では定期購読されていますか?私は取っていません。
実家では、父親が某新聞社OBのため、そのお付き合いのような状態で「紙の新聞」を取っていますが、同じように「親世代の住む実家は取っているけど、今の世帯では取っていない」という方は多いのではないでしょうか?
これは実際の数値があり、日本新聞協会のデータによると、2003年と、2023年を比較すると約4,700万から約2,700万部数とスポーツ紙を除く、一般紙の発行部数は20年前に比べて、約56%まで落ちているようです。
改めて数字にならずとも、電車の中で新聞を広げる方も少なくなりましたよね。
2003年当時であれば、新聞を起用に畳み込んで読むビジネスパーソンの方も多かったですが、今ではほとんど見かけることもないのが実態ですよね。
信頼性があるのは新聞
では新聞は本当にオワコンなのか?
それは少しデータの一面だけを見ていると考えます。次に総務省の「令和3年情報白書」の「メディアに対する信頼」をご紹介します。
媒体名 | 信頼できる | 信頼できない |
新聞 | 61.2% | 9.0% |
テレビ | 53.8% | 13.9% |
専門情報サイト | 45.3% | 10.4% |
検索エンジン | 43.1% | 9.1% |
ポータルサイト等 | 41.8% | 12.3% |
雑誌・書籍 | 37.5% | 11.0% |
SNS | 15.3% | 27.5% |
ブログ等 | 10.3% | 30.6% |
掲示板等 | 7.3% | 44.9% |
この数値を見ると、WEBでも新聞社が情報発信源の多数を占めるYahoo!Japanなどのポータルサイトや、専門性の高いWEBサイトは信頼性が高いことが分かりますが、ブログやSNSといった「個人メディア」の類になると全く信頼されていないと言っても過言ではないのではないでしょうか?
(ブログは「どちらともいえない」に値する「半々ぐらい」が40.3%あるので、ブログのテーマが専門的であれば信頼度も上がる。発信者情報すらあやふやなものであれば、信頼されていないという実態が推測されます。)
一方「オワコン」と言われがちな新聞は、他メディアに比較し圧倒的な情報に対する信頼を得ていることが分かります。
つまり新聞の読者が激減していることも事実だが、新聞に出ている情報についての信頼度は相変わらず高いということが分かります。
他テレビ、ラジオ、雑誌という「4マス」と呼ばれるものへの信頼度が高いことは事実ですね(雑誌は週刊誌等も含むので、専門誌と分ければ信頼度は恐らくもっと高いと推測できます。)
広告には大きく2つの要素がある
このようなデータから、当コラムを読んで頂いている方に理解していただきたいことは、確かにマスメディアに触れる機会は減っている。
しかし信頼されるには、マスメディアに扱われたか否かが相変わらず高いということ。
広告は2つの要素があり、1つは「購入してもらう広告(BtoBであればアポ獲得、資料請求などもここに含む)」。そしてもう1つは「認知を拡大させる」ことです。
前者は今であればインターネットがやはり強いですよね。リスティング広告やSNS広告。インフルエンサーの「案件」などから皆様も購入などに至る機会も少なくないと思います。
一方で認知、さらに信頼されるにはマスメディアはまだまだ「終わってない」と言えます。
冒頭で触れた選挙などもこの通りですよね。ネットではもの凄い支持を集めているはずなのに、フタを開けてみれば全く認知もされていなかった。という結果に終わることは珍しくありません。
やはり多くの方に認知されるにはマスメディアを活用し、その「刈り取り」としてインターネットを活用するというのが、まだまだ王道と言えるでしょう。
「バズる」だけなら確かにSNSの威力も凄いものがありますが、会社であればやはり「信頼感」も大切ですよね。
アナログを「オワコン」と呼ぶ文化には違和感
私自身、もう20年近くWEB業界で従事していますが、脊髄反射的に「アナログ」なものを「ディスる」一部の同業者の方には違和感を覚えています。
オンラインかオフラインかどちらかに優劣をつけようとすること自体がナンセンスですし、そもそもオフラインが無くなるなんてありえないわけです。
だって、私たちが本当に家の外に一歩も外にでないで、オンラインの中だけで完結するなんてあり得ないですよね?
実際、コロナ禍の中でもみんなリアルを求めたわけです。
新聞の発行部数という一面だけを取り上げて「オワコン」と言い切ってしまうのは、多角的に分析を行おうという意思がなく、一方的に「持っていきたい答え」に誘導しているとしか思えません。
ネットにはネットの良さが、新聞などのオフラインメディアにも良さがあります。それぞれの特徴を生かし、会社やサービスの知名度向上を行ってみてはいかがでしょうか?